「たとへば、こんな怪談話 4 =雲外鏡= 第四話」  …このお八重のカンは当たっていた…  暫くして戻ってきた”猫股”達(楓,菊,牡丹)から、発掘現場の穴 の中に横穴があって、その中に櫃があったとのこと、また棺の封印は剥 がされていて、中は荒らされており、中身を取り出したような雰囲気が あること、櫃の中に残った物から異様な影の名残を感じたことなどが報 告された。  「…やはり、あの”雲外鏡”…」 と、静は納得した顔をした。  「あのとき情けを掛けてやったのが返って仇になったか…」 とお八重も憤っていた。  「ねえねえ…どう言うこと?昔何かあったの?」 と、庄兵は静の着物の袖を引っ張って聞いた。  何がなんだか判らない庄兵に静は昔”雲外鏡”を退治したときの一件 を語った…  静の話によると、あの”雲外鏡”は元々秋山本家の丘の下を流れる川 の畔にある秋山一族の氏神の別社に祭ってあった物だそうだ。(ちなみ に、秋山一族の氏神の本社は、庄兵が住んでいる秋山本家のある丘の一 番高い所にある)  治水工事の関係で、別社の社を建て替える際に、新しい銅鏡をご神体 と共に祭る事が決まり、今まであった古い鏡は、新しい鏡を鋳造する材 料となるはずであった…しかし、それを知った古い鏡は怒って”雲外鏡” となり、人の姿に化けて悪さをするようになった。  そのため、静とお八重が封じ込めようとしたが、”雲外鏡”が哀願し たため、倉の地下に封印することで収まった…と言うことである。  「なんで、そんなもの今まで放って置いたの?」 と、庄兵が責めるように静に言うと、  「…忘れていたのよ!」 と申し訳なさそうに下を向いていった。お八重も  「…ごめん」 と言っただけであった。  「ま、なにはともかく”雲外鏡”を退治しなくちゃ!」 と、静は言った。立ち直りは早い方である。  「そうさね、今度は情けを掛けずに破壊してやろう!!」 と、お八重も言った。  「退治って、どうするの?」  恐る恐る聞いた庄兵に対し、静は  「”雲外鏡”に対抗するには、”照魔鏡”がいるわ」 と、静が毅然として言うと、  「あと、破壊するのに、”破邪鏡”も必要だね」 と、お八重が続けた。  「”照魔鏡”…?”照魔鏡”って?」 と、聞いた庄兵に対して、静は諭すように  「”照魔鏡”は魔物を映し出す鏡…神棚にある鏡のこと…我が秋山家 では先祖代々伝わる立派な”照魔鏡”があったのだけど、でも、この前 の戦争で行方が判らなくなって…」 と、言って静は目を閉じ、うつむいてしまった。  「今、家にある”照魔鏡”ではだめなの?」 と、聞く庄兵に、 静はうつむいたまま首を横に振って  「…あれは、ただの銅鏡…霊力はないわ…」  「じゃ、”破邪鏡”は?」  「”破邪鏡”は氏神様の本社の社殿にあります。これを持ち出せるの は、神主と一族の長である庄兵さんだけ…」 と言って、静は庄兵を指さした。  「”破邪鏡”だけでは”雲外鏡”は退治できないの?」 と聞く庄兵に、  「うーーん、だめねぇ…”照魔鏡”を使って一度”雲外鏡”の本体を 映し出してからではないと…」 と、言って静は考え込んでしまった。  また、お八重,庄兵もまたその場で俯いて考え込んでしまった…  …暫くして、  「…そう言えば、静さん戦争中はどうしていたの?」 と、ふと俯いていた頭を上げて庄兵は聞いた。その言葉に反応して静は 庄兵の顔を見上げると、  「…どうって?」 と、不思議そうな顔をして聞いた。  「いや、横浜に空襲があったのは知っているけど、戦争中もこの家に いたんでしょ?だったら、防空壕はどこにあったの?」 と、聞く庄兵の言葉によけい判らなくなった静は不思議そうに、  「なんで、そんなことを聞くの?」  「いや、”照魔鏡”が家宝だったら、戦争中は疎開するかどこかに隠 すんじゃないかと思って…いや、静さん戦争中はおろか、殆どこの横浜 から出たこと無いんじゃ…」  その言葉を聞いて静はハタと、  「…そう言えば…」  静は額にその白い手を当て、暫く過去の記憶をたどっていた…そして、  「戦争中は、防空壕に神棚を祭ってあったような…そして、焼夷弾が 家に落ちた衝撃で防空壕が崩れて…」  「…で?」  「そのあとすぐ終戦になって、食料探しや焼けた家の再建のごたごた で神棚のことはすっかり忘れて…」 と、言ったところで静は恥ずかしそうに顔を赤らめた。そして、言葉を 続けた…  「防空壕は、井戸神様の祠の脇に入り口があって…アアッ!そうだ!! 思い出したわ!!!」  「防空壕は井戸神様の側にあった倉の地下室だったわ!」  「じゃ、早速掘り出そう!」 と言って立ち上がった庄兵に  「なにも、こんな夜中に…」 と静が止めたが、  「一刻も早く、柳沢さんを助けて上げないと…」 と言い残して玄関に向かって走っていった。残された静は  「おやおや、この子ったら…」 と、微笑んで言った。  家中の照明器具を集めて、静が示す井戸の側にある花壇を照らした。  庄兵はそこをスコップで掘り返し始めた。  丁度その頃、雪枝の所に偵察に出していた”猫股”の松から雪枝が動 き出したと言う報告を受けた。  それを聞いて、お八重は猫達に迎え撃つ用意を指示した。  暫くして、今度は”猫股”の梅から、こちらに向かってくるのは、雪 枝に化けた”雲外鏡”であり、雪枝自身は、”雲外鏡”の鏡の中に居る との報告を受けた。  それを聞いて、お八重は楓,菊に”雲外鏡”の鏡を持ってくるように 指示し、自分は氏神の社に”破邪鏡”を取りに向かった…  その間、庄兵は無言で穴を掘り続けていた。  3メートルほど掘ったとき、”猫股”の梅から雪枝に化けた”雲外鏡” が目の前に迫っていると言う報告を受け、松と牡丹の指揮で猫達が”雲 外鏡”をくい止めるべく家から出ていった。  庄兵の所には、梅と松達と入れ違いに戻ってきた桜が残った。  暫くして、門の外では猫達の叫び声が聞こえてきた…どうやら、”雲 外鏡”との合戦が始まったらしい…  庄兵は猫達の叫び声を聞きながら、  「みんな、すまん!」 と言って、穴を掘るスコップを握る手に力を込めた。  そのとき、ようやく穴の下に空間が広がったと思う間もなく、庄兵は その空間に吸い込まれるように落ちていった。  「いててて…」  落ちた衝撃で腰をしたたかに撃った庄兵はもんどり打ったが、  「灯りを…」 と、言う静の言葉に痛みも忘れて、倒れたままポケットから小型の懐中 電灯を出してスイッチを入れた。  そして、灯りに照らされて居る場所を見た。するとそこには、多少痛 みが激しいが、白木で出来た神棚が祭ってあり、神棚の前に鈍く懐中電 灯の光を反射している大きな銅鏡の存在があった。  「あった!これが家宝の”照魔鏡”よ!!」  静の驚喜に似た叫び声が穴の中に響いた。  庄兵はすぐさま起きあがると、”照魔鏡”に拝礼して”照魔鏡”を手 に取った。  その頃、”雲外鏡”と猫達の合戦は、猫達の陣が”雲外鏡”に突破さ れ、”雲外鏡”は秋山家の門を突き破り庭に侵入していた…  …さて、話は庄兵が”照魔鏡”を掘り当てる前に戻そう…  その頃、雪枝が囚われている”雲外鏡”の鏡は、お八重に指示された 楓,菊にくわえられて、一路秋山家に向かっていた。  その途中で合流したお八重の指示で、三匹は氏神の社に進路を変更し た。  お八重は、最初氏神の社殿から”破邪鏡”を持ち出すはずであったが、 社殿に結界が張ってあるのか、お八重の力でも社殿に進入することが出 来なかった…  社に着くと、社殿の前に鏡を降ろし、お八重は楓に庄兵に”照魔鏡” を持って来るようにと指示を出し、ついでに”雲外鏡”もここまでおび き寄せるように言った。  楓が行った後、お八重は”雲外鏡”鏡を覗き込んだ。  中には、”雲外鏡”囚われて悲観に暮れて泣き寝入っていた雪枝の姿 があった…  「もし」  優しく声を掛けたお八重の言葉に、雪枝はハッと飛び起きて、  「だれ?」 と、恐る恐る返事した。  雪枝は窓の方を見ると、窓の外には三毛猫の姿が窓一杯に映っている だけであった。  「もし、だいじょうぶかえ、柳沢さん」  「だれ?だれなの?」  雪枝は、お八重がしゃべっているとは思わなかった。  「あたしだよ」  「『あたし』って…猫しか見えないわ」 と、言って雪枝はお八重の後ろに人の姿を探そうとした。しかし、  「そう…だから、あたし」 と言って、お八重は前足で自分を指す仕草をした。  「え゛っ…・」  雪枝は目を丸くして驚いた。  「ねっ…猫がしゃべっている…!!」 と言って、窓の外のお八重を指さした。  それを見て、お八重はやれやれと言った顔をしながらも、  「卒倒するのは後で良いから、気をしっかり持ってあたしの話を聞い ておくれ、あんたは今”雲外鏡”と言う鏡の妖怪に囚われているんだ、 今、庄兵さんがあんたを助けるべくもうじきここに来るから、それまで 気をしっかり持って待っていておくれ」 と、諭すように言った。  「庄兵さんって、あの秋山庄兵さん?…あっ、あなた確か秋山さんの 家にいた一番大きい三毛猫…」 と、雪枝が気づくと  「そうだよ!あたしゃお八重って言うんだ」 と、言ってお八重はニッコリと微笑んだ。  「あなた・・いや、お八重さん、さっき”雲外鏡”とか言っていたけ ど…」  「そうさね、”雲外鏡”は、さっき言った通り、鏡の妖怪さ、鏡は長 い年月を持つと妖怪化するのさ…ま、何でも年を取ると妖怪化するもん だけど…あんたが、居る場所はその”雲外鏡”の鏡の中さ」 と、言ってお八重は鏡をつっつく仕草をした。そして、言葉を続けた。  「人に化ける鏡が居るのだから、猫がしゃべってもおかしくはないさ ね」 と、言って笑った。  「はっ…はい」  雪枝はお八重の言葉を妙に納得した。今まで遭ったことのない信じら れない目にあっているのである。その事が雪枝の精神を強くしていた。  …話を庄兵の方に戻そう…  ”照魔鏡”持って穴から這い上がった庄兵は、目の前に猫達に次々と 飛びつかれてそれを排除している雪枝の姿を認めた。  「柳沢さん…」  驚いて立ちすくんでいる庄兵に、  「早く!このまま裏口からまっすぐ氏神様の社殿に向かいなさい!!」 と、静の叱咤する声が聞こえた。  静の言葉に従って庄兵は裏口から外に出た。  裏口から出る際に、庄兵は後ろを振り返ったが、そこには猫を引きず ったままの雪枝の姿をした”雲外鏡”が確実に庄兵に向かって突進して くるのが見えた。  氏神の社殿に向かって走る庄兵は、庄兵と併走している静に向かって  「なんで、あの場で”照魔鏡”を使わないの?」 と、聞いた。すると静は、  「あの場所で”照魔鏡”を使っても、”雲外鏡”は、本来の姿になる だけ、”照魔鏡”には前にも行ったように、魔物の本性を映し出すだけ の物…あの場で使っていたら、本性を現した”雲外鏡”にやられてしま うわ!」  「じゃ、どうするの?」  「氏神様にある”破邪鏡”を使って退治するの!それにはまず、”照 魔鏡”で、柳沢さんを”雲外鏡”鏡から助け出し、次いで雪枝さんの姿 の”雲外鏡”を”照魔鏡”で本性を映し出し、それを”破邪鏡”で退治 するのよ!!」 と、言いながら静はしきりに後ろを振り向き、”雲外鏡”が後を追って くるのを気にしていた。  急な石段を夢中で一気に駆け上がり、氏神の社殿にたどり着いた庄兵 は、休む暇なく、静の指示通りに”照魔鏡”で”雲外鏡”の鏡を映した。  と、途端にまばゆいばかりの閃光が”雲外鏡”鏡から発せられ、その 光のが次第に固まりになって最後には雪枝の姿になった。  雪枝は眩しさに目がくらんでいたが、自分が”雲外鏡”の世界から外 に出られたと知ると、急に感極まって涙を流し、近くにいた庄兵に抱き ついた。  その突然の出来事と、雪枝の抱きつく力が以外にも強かったので、庄 兵は次にここに来る”雲外鏡”に対する対応がとれなくてジタバタとも がいていた。  その間、とうとう雪枝の姿をした”雲外鏡”が氏神の境内に現れた。  ”雲外鏡”社殿の前で抱き合っている(”雲外鏡”からはこう見えた) 庄兵と雪枝の姿を認め、逆上した。  「おのれーーー」  二人に向かって突進してくる”雲外鏡”に、庄兵は  「柳沢さん、うっ後ろ…早く離れて!」 と、大声で叫んだ。  雪枝はその声に驚いて後ろを振り向くと、そこには自分と同じ姿をし たしかし、夜叉姫のような迫力のある形相をした人物が自分たちに向か って突進するのが見え、驚いて庄兵から飛び退いた。  庄兵は、飛び退いた雪枝を庇うように”雲外鏡”と間に話って立ちふ さがり、  「今よ!”照魔鏡”を”雲外鏡”当てなさい!!」 と言う静の叫び声に応じて、持っていた”照魔鏡”を雪枝の姿をしてい る”雲外鏡”向けた。  すると、雪枝の姿をした”雲外鏡”の動きが一瞬止まったかと思うと、 次の瞬間その場には、まるで雲がたなびく中に浮かんでいる丸い満月よ うな物体が残った。  よく見ると、その丸い物体には目鼻口があった…  「それが、”雲外鏡”の本性よ!早く社殿の中から”破邪鏡”を持っ てきて、あれを映しなさい!!」  再び静の悲鳴に似た指示が聞こえた。  庄兵はきびすを返すと社殿の中に向かって走った。  「させるかぁーーーー」  本性を出した”雲外鏡”そうはさせじと、庄兵の後を追ってきた。  社殿に入った庄兵は、急いで二拍手をしてご神体の前にある”破邪鏡” 手を伸ばそした。  そのとき、庄兵を追ってきた”雲外鏡”…一度は社殿張ってある結界 に阻まれたが、怒りに逆上した”雲外鏡”の強い妖力が決壊を破り、社 殿の中に進入してきて庄兵に襲いかかった。  一度は”破邪鏡”を取り損なった庄兵だが、まとわりつく”雲外鏡” を払いのけ、”破邪鏡”を取り上げた。  そして、”破邪鏡”を”雲外鏡”に向けた!  「ギャーーーー」 と言う鈍い悲鳴と共に”雲外鏡”は”破邪鏡”から発せられた光の中に 消えていった…  また同時に、社殿の外に置いてあった”雲外鏡”の鏡が粉々に砕け散 った。  庄兵はその出来事に呆然としていたが、  「やったよ、庄兵さん!やったのよ!!」 と言って社殿に飛び込んできた雪枝に再び抱きしめられ、庄兵は全身の 力が抜けて雪枝に抱きつかれたままその場にヘナヘナと座り込んだ…  …その後、今頃になっておっとり刀でやってきた氏神の神官夫婦に対 して言い訳を取り繕うのに苦労した…  …それから、数日後のある天気がいい日…  「あーあ、柳沢さんあれから来なくなったね」  相変わらず縁側で日なたぼっこをしているお八重は、庄兵に言った。  「そりゃ、あんだけ変な目にあったら、怖くて逃げ出すだろう…大学 に電話しても辞めちゃったって言っていたし…」 と言いながら、両手を肩の当たりに上げて手のひらを上に向けて庄兵は 首を傾げてた。  「そりゃそうだ」 と、言ってお八重はゴロンと転がった。  …その時、門の横の潜り戸が開いた。ちなみに、門は先日の騒動で壊 れたので、門の内側から開かないように釘で留めてある。  「こんにちは」 と言う声に驚いて、門の方へ言ってみると、そこには大きなトランクを 引きずるように持った雪枝の姿があった…  「やっ…柳沢さん…」  「こんにちは庄兵さん」  クリーム色のワンピースを着てつば広の帽子を被り、ニッコリ微笑む 雪枝の笑顔が眩しかった…  「ど…どうしたんです?大学辞めたって聞きましたが…?」  庄兵は雪枝の姿と笑顔にドギマギして舞い上がってしまった。  「…はい、辞めました」  「では、クニに帰るのですか?…それで、お別れを言いに?」 と、思わず先走って聞いた庄兵の言葉に、雪枝はキョトンとして  「えっ?お別れ…」 と、驚いたように言うと、フッと優しげな表情になって  「いいえ、私あの事件以来、あなたに興味を持ちました。不思議な人 ですね?…それに、お八重さん事を知ってしまったし…もし、私がお八 重さんの事をよそで言いふらしたらどうします?」  「それは…」 と、言って庄兵は口ごもった。  「それは、大変だ!あたしは、あんたをいつも監視していなくてはな らないやね!!」 と、庄兵の後を追って出てきたお八重は、雪枝の女心を察して、わざと らしい口調で言った。  「…そうでしょ?でも、そうするとお八重さんはこの家と庄兵さんを 守れなくなるわね」 と、雪枝はお八重に向かって悪戯っぽく笑うと、庄兵の方に向かって改 まって  「そこで、物は相談なんですけど…」 と、優しく言いかけておいて、急に雪枝の声のトーンが高くなった。  「わっ…私を監視するために、この家に置いていただけないかしら?」 と、言って雪枝は顔を真っ赤にして俯いてしまった。  「えっえっ?なに…?」  急な雪枝からの告白に似た言葉を聞いて、元々舞い上がっていた庄兵 の頭はパニックに陥った。  驚いて、庄兵は何かを言おうとしたが、口をパクパクさせるだけであ った…実は静が庄兵の口を押さえているのだが…  「いいやね、置いてあげるさね」 と、お八重が言うと  「この色男!」 と言って、お八重は庄兵の足をつついて、その場を立ち去った。  「ま…取りあえず、あがって下さい」 と、庄兵は平静になって雪枝を玄関に案内した…本当は、庄兵の頭はす っかり動転の上、卒倒しているのであるが、静が庄兵の体を操って居る のである。  …そして、何がなんだか判らない内に、庄兵は雪枝と結婚していた…  …また、雪枝に化けた”雲外鏡”に蹴飛ばされて重傷を負った子猫は、 獣医が見放していたにも関わらず、奇跡的に命を取り留め、また庄兵の 家でおいたをしている… =終わり= 藤次郎正秀